アックインテリジェンス通信

アクセスカウンタ

zoom RSS 書評:「経験知」を伝える技術

<<   作成日時 : 2005/11/24 10:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

【Executive Summary】 「知識によってはじめて起業は他に抜きん出て、市場で価値のあるものを生み出せる」 (P.F.ドラッカーの言葉)
ディープスマートとは、組織とマネジャー個人に大きな優位をもたらす知識のこと。換言すれば、その人の直接の経験に立脚し、暗黙の知識に基づく洞察を生み出し、その人の信念と社会的影響により形作られる強力で、現実の問題に対処可能な、専門知識のこと。ディープスマートを獲得している人材を活用し、また組織内でディープスマートを移転することが、組織の効率化やイノベーションの活性化につながる。

【コメント】 誰もが多かれ少なかれディープスマートを持っている。組織に役立つものかどうかは別として
従来の日本企業の強みは、ディープスマートを持つ人材が豊富なことで、そういう人たちの勘や直感に基づいて効率的・効果的な判断を下して巧みに実務を行っていたことではないかと思うのだが、この本は、この日本的な慣行について、シリコンバレーやボストンで新興ベンチャー企業35社を調査することにより、科学的、理論的に解明しようとしたものであると言えると思う。この新興企業の事例紹介も、なかなか興味深い。

個人的には、従来の日本的慣行が「ディープスマート」と名付けられ、その獲得、形成、移転のプロセスについて事細かにそして論路的に解説されてしまうと、かえって、その真髄が伝わってこないような気がするのだが、筆者たちは、どうすればディープスマートを獲得、形成、移転でき、また、その際にどんな点に注意すべきかを、かなり丁寧に記述している。上記に引用した文章以外にも、なるほど、と思える表現が幾つかあると思う。

 暗黙知については、野中教授の知識創造論(SECIモデル)が先駆であるが、ポスト野中と呼べる理論が出ていないのが現状である。現場では、個人に内在する暗黙知の重要性とともに、暗黙知を組織内で共有化することの重要性も理解されているのだが、実務や実践に役立つ方法論の決定打は無く、各社各様に試行錯誤を行っていると言う感じだとおもう。おそらく、暗黙知としての知識が、その組織の文化に依拠していること、そして、その組織に属する個人にも依拠していることが理由だろう。

 自分が知っていることを他者に伝え、他者が知っていることを自分に伝えてもらう。何より大切なことは、他者を尊重することだろう。他者を見下したり、区別したりしない。そういう心構えが必要な気がする。これは、カウンセリング心理学の基本姿勢と同じことだし、更には、現行憲法とも同じ思想だ。すなわち、個人の尊厳、個人の尊重という信念・理念である。ビジネスの実務でそんなことにまで思いを馳せる必要は無いのだが・・・。

オススメ度 ★★★☆☆ 
各章の末尾にマネジャーへの助言と章のまとめがあり、そこを読むだけでも示唆を得られる。 だが、全体的にはマジメでジミに過ぎる印象で、知的興奮を掻き立てられる、という感じではない。
ジェネラルマネジャー、人事関係者、人材育成に興味にある方向け

「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 ドロシー・レナード, ウォルター・スワップ(著)
「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
言いたいことを確実に「伝える技術」
今一番必要なのはわかってもらう熱意ではなく、言いたいことを確実に伝える技術、伝えたいことをわかってもらう技術である。 ...続きを見る
ごうぶーの本日記
2005/11/25 07:55
「「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質」
団塊の世代が引退すると、企業から多くの職人の技が失われてしまいます。その対策に日本の製造業は今躍起になっていると、ニュースやドキュメントで繰り返し報じられています。 ...続きを見る
三文文士の空回り
2006/02/19 11:15

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
書評:「経験知」を伝える技術 アックインテリジェンス通信/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる