【Executive Summary】若者=15〜34才を対象にした最新の分析「ニート」を広く紹介した筆者の最新刊。世間では、「ニート」は「働かない」若者、「働く意志のない」若者、「働く必要のない」若者というイメージがまかり通っているが、筆者は調査資料を仔細に分析し、そうしたイメージは全く違うと断言する。むしろ何らかの理由により「働けない」状態に陥った希望を持てない若者だと言う。 【Points to Note】 「アンチ即戦力主義」 人材育成にお金をかけない企業の将来は・・・。 「『失われた10年』は、若者を育てるということに社会が自信を失っていった10年だった。」 グローバル化の中で必要な人材を必要なときに外部から即戦力として調達できる柔軟な雇用戦略が主流と当然のように考えられるようになった。だが「グローバル化の人材戦略=即戦力」という図式は嘘だった。即戦力偏重=スキルの普遍化。独自の人材育成を行わない企業は競争力が低下するのは自明の理。 「希望は一般に信じられているのとは反対に、あきらめに等しいものである。しかし人生に必要なのはあきらめないことである」(小説家カミュの言葉) 希望は求めれば求めるほど逃げていく。しかし希望を求めなければ強い充実も得られない。その意味で希望は常に逆説的で矛盾に満ちたもの。だがそれが希望の真実だ。これが理解できれば、「やりたいことがみつからない」「やりたいことがなければならない」と自分に過剰なプレッシャーをかける必要も無くなる。 「就業に迷う若者たちはきまって働く意味を問う。だが、働く上で必要なのは意味ではない。リズムだ」 自分のなかに生きるリズムを身に付けていれば働くことは誰でも可能だ。「早寝、早起き、朝ごはん」の習慣を身に付けること。やりたいことをやるには、まずやるべきことをしっかりやる。生活のリズムをつかむことが基本の基本だ。 【コメント】 「夢を持て」、「希望を持て」と簡単に言うな! 8時半始業の会社にお勤めなら、NHK朝の連続テレビ小説「風のハルカ」を見るのは無理かも知れないが、もしもお昼の再放送で見る機会があるならこのシーンをご存知かも知れない。桂文珍扮する四方山部長が主人公のハルカに「得意なことは何ですか」、「就職の動機は何ですか」、「仕事への希望は何ですか」と尋ねるシーンがあった。ハルカは「妹の学費を稼ぐため」と正直に答えるのだが、後日、部長はハルカに「夢を持ちなはれ」と言うのである。言われたハルカは考え込んでしまう。「やりたいことがない。分からない。」と悩んでしまうのだ。 ハルカには「妹のため」という目的があるから働いていける。が、そういう明確な目的が無いと、この状況はニートへの第一歩になりかねない。ハルカは人付き合いが下手なようだし、母親との関係も築けていない。ニートの特徴として、希望や夢の不在、自信のなさ、人付き合いが下手、家族との関係も疎遠、ということが本書の分析から仮説として立てられているのだ。 ニートの問題は今に始まったことではないが、以前より増えているのは事実らしい。社会の構造や価値観の変化に伴って以前なら社会のレールに乗っていられた人が乗れなくなってしまっている。乗っていいのかという疑問さえ抱き恐怖と不安に囚われている。周りが十分に受け容れて、その人のペースで自信や希望や夢を育てていく必要がある。ニートの問題は企業を含めた社会における「人を育てる」問題だ。 おススメ度 ★★★★★ 「ニート」を誤解しないために。 貴方自身、同僚、部下、あるいは貴方の子供がいつ何時ニートになってもおかしくないのです。 投げ出さない生き方、育て方を学びたい方に。 働く過剰 大人のための若者読本 玄田 有史(著)
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タザワ 2005/11/09 21:54 |
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