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zoom RSS 書評:テクノロジストの条件 P.F.ドラッカー(著)

<<   作成日時 : 2005/12/06 17:03   >>

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【Executive Summary】 いつまでも古びないドラッカー氏の論文集
ドラッカー氏の初出1957年から1999年までの論文の中から、「肉体労働と知識労働を統合・昇華するものとしての技術」と、「技術によりもたらされるイノベーション」という観点から抽出して一冊の本にまとめたものである。本書は、デカルト来の西洋が基礎とする「全体は部分の総和であること、定量化が理解の基本であること」という考えに対するアンチテーゼから始まり、部分の総和は全体を超え、肉体と知識の融合が技術を生み、イノベーションは絶え間ないルーティン(仕事)の産物であることなどが、述べられている。MOTを学ぶ人には必携の書。

【コメント】 西洋からの東洋へのアプローチ
プロローグでデカルト的世界観の終わりを告げる記述があり、思わずにやりとしてしまった。これはまさに、わが師野中教授の説く東洋と西洋思想の融和を西洋の側の視点で説いているものだからだ。全体は部分からでは理解できない、というAha!的な納得があって始めて、マネジメントが行えるのだと思う。経営は、有機的な活動であり、バリューチェーンのように部分に分解して分析は可能だけれども、重要なのは、分析できないソフトな部分や各部分の間の「Fit」である。闇雲なアウトソーシングが失敗したり、利益や効率重視のM&Aが失敗したりするのは、この分析できない部分があるからだ。野中教授ならそれを組織の暗黙知と呼ぶことだろう。

それにしても、ドラッカー氏の論文は難しい。論文の書かれた時代背景や社会的傾向を理解していなくても論文そのものの主旨は理解可能だし、現代にも当てはまる内容がほとんどなのだが、表現の中には、読む側が知識的教養をコンテクストとして持っていないと理解できないものがある。例えば、第一章の「仕事の歴史」と言う見出しの文章に、「ヘレニズムにとらわれた政治家や芸術史家は、仕事を軽視する。一方、技術史家はものに焦点をあわせる。」とある。「ヘレニズムにとらわれた」の意味するところを理解していないと、ドラッカー氏が何を言いたいのか理解できない。この論文は1959年初出であるから、当時、この論文を読むような人々はこの文章を理解するだけの教養を持っていたということだろうか。

また、本書は、MOTという視点からも示唆に富んでいる。イノベーションとインベンションの違い。サイエンスとテクノロジーの違い。これらはともすれば混同しそうだが、明確な違いがある。イノベーションは仕事、と言い切るドラッカー氏。まさにその通りだと思う。イノベーションは個人による、単なる思い付きやアイディアではない。組織的に継続的に取り組む仕事なのだ。トヨタを見習うが良い。

オススメ度 ★★★★★ 
自分が何を知り何を知らないかよく分かる本。自らの無知の知を知るのに最適。

テクノロジストの条件 P.F.ドラッカー(著)
テクノロジストの条件 (はじめて読むドラッカー (技術編))

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『テクノロジストの条件』P.F.ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
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