アックインテリジェンス通信

アクセスカウンタ

zoom RSS 書評:HBR 4月号 「決断の科学」

<<   作成日時 : 2006/03/27 22:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

【Executive Summary】 人間は理性だけでは決断できない
経営者の役割は決断をすることだと言われる。そして、決断をする際には、理性を働かせるものだと普通は考える。ところか最近の脳科学の研究によると、人間は理性だけでは決断できないのだそうだ。感情を司る脳に欠損がある場合、全く決断を下せないという症例から明らかになったものだ。本書を読むと、理性的、合理的、客観的な決断などあり得ず、常に決断をする人物の意思・意志と情熱・思いが必要だということが分かる。最近は、直感(Hunch、Gut feeling)も重要視されるようになっており、如何に直観力を身に付けるかも課題となっている。

意思決定科学の歴史
哲学、数学、経済学、心理学の各分野で合理的な意思決定の仕組みや方法が検討され定義されている。本稿では過去の歴史を振り返り、最新の意思決定理論について述べている。最新の研究では直感を用いた意思決定の方が長時間かけて合理的に行う決断よりも効果的であるという。

脳の意思決定メカニズム
人が決定をする際、人という動物であるがゆえに無意識下の動物的衝動=感情に気が付かない間に影響される。だからと言って、理性だけでは決定を下せないことは脳科学の研究で明らかになっている。意思決定を行う際には、認知科学の分野で研究されている無意識の直感を無視しないことも大事だが、動物脳に振り回されていないかどうか自らを省みることも大切だ。

エビデンス・マネジメント
EBM(Evidence Based Management)が医療分野で重要視されている。「本当に実効性のある治療法に関する最新かつ最善の科学知識に基づいて医療上の意思決定をすべし。」当たり前だろうと思うかも知れないが、時代遅れの情報や過去の経験や信条・信念で判断していることが多い。経営でも同じ。EBMの実践においては「無知の知」を肝に銘じて知を謙虚に探求し自らの行動を新たにしていくことが求められる。

「意識の壁」が状況判断を曇らせる
「意識の壁」とは重要情報を無意識のうちに無視してしまうこと。人は見たいものしか見ない。当たり前なことや慣習に囚われて新たな視点を持ち難い。そのために失敗した例がいくつか紹介されている。

分析力で勝負する企業
統計データの活用を強みにする企業がある。Amazonを筆頭にHarras EntertainmentやMarriott Internationalなど。データ分析や統計分析を行い成功するには、同時に従業員の思考法や仕事のやり方、経営陣の意思決定の仕方、文化、人材育成も連動していなければならない。

意思決定のRAPIDモデル
しかるべき意思決定をしかるべきタイミングで下していることが高業績企業に共通する特徴である。RAPID(Recommend、Agree、Perform、Input、Decide。順番は問わない)モデルによって、意思決定のフローと各人の役割を明確化し、意思決定すべき人が決定を下す仕組みを作ることを提案している。

戦略立案と意思決定の断絶
調査によれば、戦略立案のプロセスが優れた意思決定を阻む結果になることが多い。にもかかわらず、従来の型通りの戦略立案・プレゼンを行う企業が非常に多い。戦略を通年で見直し改善し続けることで戦略的意思決定モデルを構築し、戦略立案と意思決定の断絶を解消できる。

【コメント】 脳と腸の関係
Gut feelingのGutとは内臓とか腸のことだ。直感のことをGut feelingと言う英語の言い回しは日本語にも通じる。日本や中国ではへその下あたりの丹田と呼ぶ部分に気合をこめることがよくあるが、これはまさに内臓、腸のあたりである。脳は冷静沈着に理性的、合理的に思考するのに対し、腸は思考せず気を感じるだけというような意味合いだろう。その気を感じるのも重要な決断力のひとつであると論じられ始めている。

やはり西洋では理性的、合理的に意思決定すべきという考え方が当たり前なので本書のような特集が組まれるのだろうが、東洋では直感で決断することも認められるので、今さらなに?という感も否めない。だが、直観力を科学的に捉えようとする西洋的な姿勢は参考になると思う。また、西洋的に傾き過ぎている昨今の日本的経営の良さを再認識するのにも役立つと思う。

野中教授はハーバード式に代表されるアメリカMBA的思考にアンチを述べておられる。人は理性的、合理的に完全になりきれるものではない。特に洞察力や大局観を持つことは理性や合理性と相反する。理性・合理性と直感を昇華することで、より良い決断をすることができる。正・反・合の思考法を身に付けることがより良い意思決定につながるのだと思う。
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 04月号 [雑誌]
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 04月号

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
書評:HBR 4月号 「決断の科学」 アックインテリジェンス通信/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる