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zoom RSS 書評:HBR 2006年7月号 ドイツ 株主価値経営のジレンマ

<<   作成日時 : 2006/06/13 22:30   >>

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【Executive Summary】 ワールドカップにちなんでドイツ特集
本書を手に取ると、いつもより分厚いと感じる。ドイツ特集にかなり力を入れたと思う。現地取材でドイツを代表する11社の現状をまとめ、各社にインタビューを行っている。ドイツ経済、経営は日本と類似する点が多く、参考になる点も多い。分厚さには思わず引いてしまうが、思い切ってページをめくれば、名前を知っている企業も出て来て、なるほどと思うこともあるはず。ドイツはアングロサクソンではない、ドイツ式でもない「第3の道」を模索している。日本も見習って、日本独自の「第3の道」を模索すべきだろう。

【Points to Note】 特集記事の要点
「共同決定方式」の岐路 「ドイツ株式会社」の第3の道とは
ドイツも日本と同じ構造がある:第二次世界大戦敗戦国、行政主導の経済発展、少子高齢化、製造業中心なのに自前の天然資源に乏しい、など。第3三の道とは、「行き過ぎたアングロサクソン経営を見直しつつ、かつてのドイツ的経営の長所を発掘し、新たなドイツ的経営を再構築するというもの」。従業員vs経営者という2元論的経営ではなく、従業員も経営参加する「共同決定方式」や「従業員協議会」の方式を紹介。

社会システムをターン・アラウンドせよ グローバル時代への処方箋
コンサル会社ローランド・ベルガー社代表ローランド・ベルガー氏へのインタビュー記事。日本の株主重視や規制緩和、民営化へのコメント、ドイツ社会の抱える課題、コンサルタントに必要な6要素について。

ドイツ・ビジネス・レポート グローバル企業現地取材
日本とドイツは「ライン型資本主義」(「資本主義対資本主義」ミシェル・アルベール著)。企業は従業員を大切にし、社会的責任を持ち、資金調達を銀行に頼り、株式を持ち合う。経営陣は長期的な投資判断が出来る。ところが世界はアングロサクソン資本主義に向かっている、国境を越える投資資金、弱肉強食のM&Aの激化、発言力を増す株主。脱ドイツか、「第3の道」の模索か。11社をケースに論じる。
Case1. アリアンツ 大企業初の「欧州会社」化を推進
Case2. BMW プレミアム市場の覇者へと上り詰めるブランド力
Case3. ダイムラー・クライスラー 再生を期す自動車産業のDNA
Case4. ドイツ銀行 ドイツ産業界の「メイン・バンク」からグローバル投資銀行へ
Case5. ドイツ取引所 ドイツの国際競争力を高めるため「脱ドイツ」を進める急先鋒
Case6. ハイデルベルグ社 世界シェア43%を占める印刷機業界の巨人
Case7. ヘンケル 積極的なM&Aと提携戦略で世界市場へ
Case8. オットー サステナビリティを追求する世界第一位のメール・オーダー企業
Case9. ポルシェ 高利益を生み出す効率経営とポルシェ・VW連合の行方
Case10. SAP ドイツ発IT巨人のイノベーション力
Case11. シーメンス イノベーション力を武器に「脱欧入亜」を図る

ドイツのGo East戦略 EUの東方拡大がもたらす衝撃
ドイツに面する中欧8カ国は新たにEU入りし、ドイツの最も重要な貿易相手国となっている。ドイツ国内の経済の鈍化にともない、中欧諸国への拡大がドイツ産業の維持拡大に必要不可欠となっている。

ドイツの「隠れたチャンピオン」に学ぶ グローバル・リーダーシップの成功例
「隠れたチャンピオン」とは50%以上の市場シェアと高収益を誇るマーケットリーダーにもかかわらず、メディア、経営学者あるいは産業界で一般的に知られていない中小企業のこと。本稿で解説されているドイツの隠れたチャンピオンの成功要因は日本の中小企業のグローバル展開の参考になる。

ドイツ、イノベーションの源流 歴史から読み解く
ドイツからは数多くの学者や音楽家などが輩出されているが、統合と分断の歴史を繰返す中で、ドイツ国外へ流出してしまったという過去がある。現在のドイツにはイノベーションを起こす力が無いと本稿では言う。シュンペーターは5つの新統合を遂行することがイノベーションにつながると定義したが、その条件は非連続性、創造的破壊だ。ドイツでは新たな非連続性の仕組みを構築しようとしている。

2006年のパワーコンセプト(下)
11. P2Pのリーダーシップ開発
12. 21世紀版「なぜこの店で買ってしまうのか」
13. 経験則の影響力
14. 国家と企業、社会的影響力の逆転
15. 消費者の「もう1人の私」に売り込め
16. プライベート・ブランドとのコーペティション
17. アメリカ産業界は長期志向に向かう
18. 調達活動にも中国リスク
19. 脳科学は企業経営に何ら貢献しない
20. 理想の会社、理想の仕事、理想の上司を追い求める愚

戦略テーマ:BSCの新ツール
組織改編を繰返すとコストがかさむ一方で組織上の問題が膨らむ。これまで戦略マップやBCSの導入を通じて何百という企業を研究してきたが、そこから得られたのは戦略にぴたりとフィットする組織形態を見つけ出す必要は無いということ。戦略テーマをBSCに落とし込み管理するマネジメントシステムが有効である。

コミュニケーション・コンバージェンス IP電話が加速させる
この数年IP電話の導入が加速している。本稿ではIP電話によるメリットを得ている企業事例を紹介する。VoIPのメリットは、@仮想化(形態性、柔軟性)、Aカスタマイゼーション(ブランド強化、顧客サービス、社内コミュニケーション)、Bインテリジェンス(コミュニケーションとビジネスプロセスの連携、知識労働者の生産性の向上)という点で評価できる。VoIP導入のメリットを享受する鍵は、既存業務を処理する新しい方法と見るか、事業全体を再構築する手段と見るかにある。

【コメント】 ドイツと言えば…
ワールドカップ初戦、日本は前半1点リードするも後半オーストラリアに3点もの得点を許し敗北した。現地で応援するサポーターもさぞかしがっくり来たことだろう。ワールドカップ開催でドイツの紹介が様々にされているのはとても興味深い。本号もその流れである。ドイツと言えば、ビールにソーセージ、ポテトにキャベツの酢漬け。食べ物ばかり思い浮かぶが、マイスターのお国柄だけあって、自動車を初め品質の高い商品やサービスが多い。日本との類似点も多く、ドイツに日本が学ぶことはサッカーだけではない。

ドイツでは、「プラーヌンクスツェレ」という市民討議の新たな試みが行われている。別府大学の篠籐明徳教授がドイツで学び、日本への紹介を行っている。民主主義の原点と言える手法で、市民の中から無作為に抽出した参加者に市民代表として3日間かけて討議してもらい、意見を集約し提案書として提出する。提案書は無視することは出来ず、必ず対応を返答しなければならないルールになっている。

日本では、一部のパワー市民が参加することはあるが、無作為抽出という方法を取ることは少ない。経営に対しても、これまでのように労働組合に任せるのではなく、また、QC活動とは違う次元で、一般従業員として意見を取りまとめ、提言するという仕組みがあっても面白いと思う。

おススメ度:★★★☆☆ 
ドイツという鏡に日本を写して見るという点では興味深いが、現場へ適用するほどの参考になるかどうか、評価の分かれるところだと思う。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 07月号 [雑誌]
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 07月号 [雑誌]

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