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zoom RSS 書評:ハーバードビジネスレビュー 2006年11月号 偉大なる経営論

<<   作成日時 : 2006/12/09 22:35   >>

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【Executive Summary】 創刊30周年記念号
戦略論の発展の歴史を理解するのにとても役立つ特集である。60年代の戦略論は自社に注目し戦略を数量的に分析し計画を立案するものだったが、70年代に入りリーダーシップや組織行動など人にも焦点を当てるようになっていく。戦略論はアメリカを中心に発展してきたため、80年代に入りアメリカ経済が低迷するなか日本企業が進出してくると日本に学ぶというブームがおきる。そのさなかにポジショニング学派のポーター教授が登場、環境要因に則って自社の戦略を策定するというある意味単純明快な運命論的な戦略論が広まっていく。90年代に入ると、やはり「企業は人だ」という揺り返しが置き、ラーニング学派や知識創造学派が出てくる。本書に掲載されている抄訳を読むとその時々の時代の価値観や思考・嗜好パターンが垣間見えて面白い。

【Points to Note】 特集記事の要点

マネジメント理論30年史
60年代 : 「断絶の時代」の始まり : 「マーケッティング近視眼」の指摘、コンティンジェンシー理論の登場、実学としての行動科学、コングロマリットの台頭とゲームズマンの跋扈」
70年代 : 低成長期に成長を目指す : 収益性の追求(SBU、PPM、PIMS)、「動機付け」のリーダーシップ、経営者の虚と実
80年代 : 日本的経営を学習する : 日本企業の成功、分析的で計画的な戦略の落とし穴、寵児ポーターの登場
90年代 : 組織学習とビジネスモデルの時代 : 「学習しつづける組織」を目指して、RBVの台頭、顧客を再発見するITの衝撃、

PARTI 戦略の源流を探る
マーケティング近視眼 ハーバード・ビジネススクール 名誉教授 セオドア・レビット
五つの競争要因が戦略を決定する ハーバード大学 教授 マイケル・E・ポーター
ストラテジック・インテント ゲイリー・ハメル、C・K・プラハラッド
ケイパビリティに基づく競争戦略 
プロダクト・インテグリティ キム・B・クラーク、藤本隆宏
知識創造企業 一橋大学大学院 教授 野中郁次郎
イノベーションのジレンマ ジョセフ・L・ボウアー クレイトン・M・クリステンセン
ゲーム理論による戦略形成 アダム・M・ブランデンバーガー バリー・J・ネイルバフ
PIMS: マーケット・シェアの収益への影響 シドニー・シェフラー、ロバート・D・バゼル
マーケティング思考と販売思考 フィリップ・コトラー
大口取引を成功させる法 トーマス・V・ボノマ
二つロイヤルティによる良循環経営 フレデリック・F・ライクヘルド
サービス・プロフィット・チェーン ジェイムズ・L・ヘスケット W・アール・サッサー・ジュニア
顧客と学習関係を構築する B・ジョセフ・パイン2世 ドン・ペパーズ

PARTII 組織のダイナミズムを引き出す
経営者の真の仕事とは何か ピーター・F・ドラッカー
マネジャーの職務:その神話と事実の隔たり ヘンリー・ミンツバーグ
マネジャーとリーダーの違い アブラハム・ザレズニック
組織志向マネジャーの条件 デイビッド・C・マクレランド デイビッド・H・バーナム
ピグマリオン・マネジメント J・スターリング・リビングストン
上司をマネジメントする ジョン・J・ガバロ ジョン・P・コッター
評価するのではなく、理解力をもって聴く カール・R・ロジャーズ F・J・レスリスバーガー
モチベーションとは何か フレデリック・ハーズバーグ
組織学習を妨げる防衛的思考 クリス・アージリス
成功する組織改革はボトムアップである マイケル・ビアー ラッセル・A・アイゼンスタット
高業績チームのマネジメント ジョン・R・カッツェンバック ダグラス・K・スミス
ビジネス・プロセス・リエンジニアリング マイケル・ハマー
株式非公開化のメリットを生かす マイケル・C・ジェンセン
バランス・スコアカード ロバート・S・カプラン デイビッド・P・ノートン
オプション理論が経営の柔軟性を高める アビナッシュ・K・ディキシット ロバート・S・ピンディック

PARTIII
ビジョナリー・カンパニーへの道
 ジェームズ C.コリンズ ジェリー I.ポラス

ブルー・オーシャン・リーダーシップ W.チャン.キム
ブルー・オーシャン戦略は見えざる需要を掘り起こすためのフレームワークであるが、組織メンバーのマインドセットを改革し、組織の若返りを促すリーダーシップ・ツールでもある。シンガポール政府や三星電子で導入されている。「フェア・プロセス:Engagement、Explanation、Expected clarity」と、「ティッピング・ポイント・リーダーシップ:意識改革のハードル、資源不足のハードル、意欲欠如のハードル、社内政治のハードル」の両方のスタイルを持っている。

【コメント】 いつの時代も顧客は存在したし、企業では人が働いていた
60年代に既に「顧客志向」や「顧客創造」という言葉が存在し、セオドア・レビット氏の「マーケッティング近視眼」という論文の中では「顧客が求める価値を起点に企業活動や事業ドメインを考えるべきだ」との主張がなされている。マーケティングの4Pも60年代に発表されている。確かに、現代に至るまで「顧客」は常に存在し続けているわけだから当然なのかもしれないが、その割には顧客視点の無い企業がこれまで余りにも多かったように思えてならない。「顧客満足ナンバーワン」は今でも立派な売り文句である。裏を返せば、戦略論とは、顧客をいかに満足させるかの方法に過ぎないということだろう。

同じように、企業に働く人々に対する動機付けの問題も古くから語られている。経営者のリーダーシップについても同様である。ポーター教授のポジショニングの考え方はそうした要素を軽視する傾向があり、おそらくそれで好まれたのかもしれないが、「人」の問題は避けては通れない。なぜなら、分析し立案するのも人だし、実行するのも人、顧客も人だからである。むしろ、人の要素こそが戦略論の基本にあるべきだろう。

ミンツバーグ教授の「戦略サファリ」の10学派の中には、人の感情や意志を中心に考える学派は含まれていない。感情や意志は定量的に分析できないし、極めて主観的であるからだろう。しかし、人の要素が戦略の基本をなすと考えるのであれば、感情や意志を無視することはできないし、むしろ、その2つをどう取り上げていくかが需要だ。今後の戦略論の発展には、この2つがキーとなると思いたい。

おススメ度:★★★★☆
実際の現場の業務には直接的な関係はないが、知的好奇心を満たし、過去に思いを馳せ未来を想像する糧にはなると思う。要は、ここから何を生み出すか、だ。 
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 11月号 [雑誌]
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