アックインテリジェンス通信

アクセスカウンタ

zoom RSS 書評:HBR 「ものづくり」の戦略モデル

<<   作成日時 : 2006/07/22 16:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

【Executive Summary】 ものづくりとイノベーション
現場主導かトップダウンか。ものづくりとイノベーションはいずれもどちらに重心を置くかという問題に直面する。現場主導では会社全体の方向性を見失う可能性がある一方、ものづくりもイノベーションも属人的な能力に依存するためにトップダウンで推進することは難しい。本書ではものづくりとイノベーションの関係についてパターン化し分類することで、組織的に推進する方法を提示している。また、ユビキタス時代のビジネスモデルとして、スマート・サービスを紹介する。

【Points to Note】 特集記事の要点
P&G:コネクト・アンド・ディベロップ戦略 −イノベーションに外部性を働かせる
「持続的かつ安定的な売り上げ増」は自社開発に固執したイノベーションでは実現できない。P&Gでは「コネクト・アンド・ディベロップ」というオープン・イノベーションの手法によりR&D効率が60%も向上した。これは単純なイノベーションのアウトソーシングとは異なる。社外のアイディアを社内に取り込み改良して製品・商品化する。NIH(Not Invented Here)を軽視する社内抵抗勢力を排除することが肝要である。

R&Dに「破壊的イノベーション」理論を応用する −成功確率を高めるために
「破壊的イノベーション」理論とは「イノベーションのスピードが顧客のニーズを追い越している」ということ。この理論を応用して3つの作戦を提案する。
1.孫の手作戦:顧客の手が届かないところに着目する
2.大変身作戦:見栄えのしない事業を魅力的に変身させる
3.ボトルネック解消作戦:一部の顧客に限定された市場をマス化する

イノベーション・エコシステム −「コラボレーションのリスク」を読み解く
複数の企業がそれぞれ持てるものを提案しあい一つのソリューションにまとめて顧客に提供するコラボレーションのあり方を「イノベーション・エコシステム」と言う。換言すれば、自社の成功が他社に依存するということ。イノベーション・エコシステムに内在するリスクは3つある。リスクを全体的かつシステマチックに把握することが現実的な予測を可能にし、成功確率を高める。
1.イニシアティブ・リスク:プロジェクト・マネジメントに関する不確定要因
2.相互依存リスク:相互補完関係にある企業間の調整に関する不確定要因
3.インテグレーション・リスク:イノベーションの導入過程で生じる不確定要因

製造業はスマート・サービスで進化する −ユビキタス時代のビジネスモデル
製造業はサービス業である。この理解と実践が無い製造業が未だに多い。スマート・サービスとは、従来の製品のメンテナンスやアップグレードに留まらない、価値や効率を提供するもの。スマート・サービスは先手必勝のアプローチで、「現場の知」と「機械の知」をバランスよく融合する必要がある。スマート・サービスを成功させる4つのモデルとは、
1.単独ならば「機能内蔵型」(Embedded Innovator)
2.より野心的に展開するならば「問題解決型」(Solutionist)
3.他社と提携するならば「提携中枢型」(Aggregator)または「提携周縁型」(Synthesizer)

カスタマー・セントリック・イノベーション −株式市場はR&Dを評価しているか
カスタマー・セントリック・イノベーションとは、顧客とそのニーズの理解を継続的に深める「カスタマーR&D(顧客本位のR&D活動)である。カスタマーR&Dは提供価値(Value Proposition)を改善すると同時に、満足度の高い顧客体験を提供する方法に焦点を置いている。
カスタマーR&D戦略には2つのパターンがある。

攻撃的パターン
1.既存の顧客セグメント、コア顧客を特定し、開発を行う
2.@セグメントを拡大する A性能を増やす
3.@セグメントを更に拡大する A性能をより強化する

防御的パターン
顧客ニーズの変化と破壊的脅威の可能性をたえずモニタリングする

CEOの公式謝罪はいかにあるべきか −致命傷を戦略的に回避する
謝罪は加害者を正確に特定し被害の大きさを見極めるところから始まる。トップマネジメントの謝罪は社内外へのメッセージであり、個人と組織を同時に代表するものであり、戦略的PRでもあり、複雑な意味合いを持つ。さまざまな事例から、世界的に謝罪をする事件が増加しているのは明らかだ。いつどのように公式謝罪するか、5つの判断指針を示す。
1.公式謝罪によってどのようなメリットが得られるか
2.公式謝罪によってだれにメリットがもたらされるか
3.公式謝罪の目的は何か
4.公式謝罪することで、どうなるか
5.謝罪を拒否するとどうなるか

【コメント】 ものづくりもイノベーションも源泉は心意気
近々大量の団塊世代の人材が退職するために、ものづくりの技術の伝承が途絶える恐れがあり、日本の製造業が大きな打撃を被る可能性がある。このいわゆる2007年問題に対応するために、製造業各社は経験者を講師にしたり経験者に教育教材を作成してもらったりして技術の継承に必死である。

だが、大切なのは、職人魂とでも言うべき、「心」や「あり方」の部分のような気がしてならない。単に先達と同じ手順をこなすだけでは、本当のものづくりもイノベーションも生まれる余地が無い。先達の教えをベースにしながらも、後継者の相違と工夫、探究心や好奇心があって初めて継承するに足る技術となるように思う。残念ながら、この心のあり方はマニュアル等では残し伝えることができない。

がむしゃらに高度成長を牽引してきたモーレツ社員は昨今の自分本位や個人主義の風潮の先駆けだったのかもしれない。まずは自分が頑張ることが最優先で家庭や社会、次世代の育成は二の次だった。だが、そろそろ後の世代に何を残すかを考え実行する必要がある。一方で後輩も先達から学び取ろうとする意欲が必要だ。だが、そもそも、こうした心意気そのものが薄いのが現在の社会の傾向かもしれない。

おススメ度:★★★☆☆
ものづくりやイノベーションをシステマチックに構築する方法を知りたい方向け。CEOの公式謝罪はいかにあるべきか、という記事はオススメ。
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 08月号 [雑誌]
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 08月号 [雑誌]

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
書評:HBR 「ものづくり」の戦略モデル アックインテリジェンス通信/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる